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美しき日本の原風景 -山種美術館-(7月24日まで) 次回予告日本画どうぶつえん [展覧会]

美しき日本の原風景 -山種美術館-(7月24日まで)

表題の展覧会行ってきました。
http://www.yamatane-museum.jp/

渋谷か恵比寿からバス(歩いてもOKですが、暑かったり台風だったりするのでバス使った方がいいと思います。)
で2つくらい。
ぽつんとあります。

地下に展示室が大きいのと小さいのがあるだけで
おびただしい蒐集作品を持っているのにせいぜい60点くらいしか
見れません。

・・・・が近代の日本画のすばらしい作品をいつも見せてくれる美術館です。
企画展のたびに自分のとこ以外の作品も集めて
なんかのテーマ性をもって楽しませてくれるのは美術館の意欲なのでしょうね。
少し高いのですが上のリンクサイトで割引クーポン印刷したり、
前売り買っておけば結構安くなります。1000⇒900または800(前売)円。

今回は風景画。
もうほとんど会期終わりますので作品の感想と画家の紹介の記事になってしまいますが
とてもいい展覧会だったと思いますので紹介させていただきます。

山種美術館は近代のコメ取引所のドンみたいな山崎種三さんと言う人が
画家と付き合い深めながら作品を収集してきたそうです。
ですので作品は基本的に明治以降の近代作家がほとんどです。

ミーハーなので東山魁夷さんの作品など目当てで行きました・・が、やっぱりどれもこれもすごいと
思わされました。
以下は美術館のサイトにあった展示予定作品です。

大きい展示室1の内容:
 川合玉堂《春風春水》、《早乙女》、《山雨一過》、《溪雨紅樹》
 奥田元宋《玄溟》、《山澗雨趣》、《奥入瀬(春)》
 東山魁夷《春静》、《緑潤う》、《秋彩》、《年暮る》
 横山操《越路十景》(全10点)

小さい展示室2の内容:(富士山尽し)
 横山大観《霊峰不二》
 小林古径《不尽》
 安田靫彦《富嶽》
 伊東深水《富士》、

ほか約60点  

実はここにあげられた他に
川合玉堂さんの学んだ
円山派の絵や橋本雅邦の絵(幻想的な着彩をした竜虎の図などで有名。展示作は別ですが)
が参考展示として並んでいました。
予告と違いますといって作品が加わるのは大歓迎ですよね。^^

ここまでのブログ記事で取りあげたのですが僕は円山応挙大好きで
その流れを組む写実的な絵が大好きです。

川合玉堂さんははじめ円山派で学び、橋本雅邦さんの絵(例の竜虎図だったと聞きます。)
を見て上京を決意し、農村の自然を描きまくりました。その画風の根幹を知らしめるための
参考展示だったんだと思います。

まず円山応(なんとか)さん(・・・漢字忘れました)の絵を見ました。
ガラスケースに平置きで普通に売ってる画集くらいのサイズの本
(色紙のようなページの真ん中をくりぬいて絵の表面が重ならないようにしてあります)
を広げてあります。

他のページもみてみたくなるようなまさに円山派の写実的な美しさでした。
金の屏風に描かれたわけでもなく、普通に紙に墨で描きこまれあとから日光などを薄く赤く着彩してる
山間の景色の絵ですが応挙以来の伝統の写実(真景)画とはこういうものかと思いました。
円山派に師事するとこんな御手本を見させてもらえてやまほど絵を描かせてもらえたんだなぁ・・・と

次に割と川合玉堂の絵に似てる橋本雅邦作品(掛け軸)。

橋本雅邦の作品をそんなにしらないのですがもっと色のけばけばしいのを想像してましたが
意外と落ち着いてます。

それから川合作品を見て行きますと
色付けてるんですけど本質は水墨画ですね。
墨の濃淡でかなりのディテールを描いてから色がつけられる。

それと円山派にも橋本雅邦にもない特徴としてはすんごい牧歌的な農家の人の仕事の姿が描かれてます。
可愛い農家の人たちですね。

・田植えをして腰をあおってる人やせっせといねを置いてる人
・滝や水路の樋の写実的な表現の合間に小さく小さくかわいらしい人が描かれている。

ところどころ作品の展示の中に挟まれて画家自身の言葉が書かれています。
だいたいこんなことが言われてました↓(暗記してないので細部はごめんなさい)
「父も祖父も絵を描かなかったけれども小さなころに山に連れられては
 弁当を広げて景色を見ていた。僕には景色というのはこうやって幼いころに
 自分が実際に見て育ったものだ。(橋本雅邦先生のように)理想であれという景色は描けない」

なるほど、だからこの小さな人たちが必要なのかもしれない。
誰かがいてそこの自然と共生して恵みをもらってるその静かな感じが景色というものなんだろうな。

遠近を色の濃さや透視図法で表現したり、雪や吹雪を表現したり、滝が描かれていたりと
人のない景色もスケールがでかくて雄大で魅力あります。

あとでショップで画集(というか解説書)買ってしまいました。
画集見ると初期は本当に円山派ならではの金箔水墨画や
琳派顔負けにきんきらきんな屏風絵のようなものを描いてます。
・・・・すごいなぁ・・・どうしてこれが描けるようになってからなおあの牧歌的な農家の絵に還って行ったんだろう。
そう思うとかわいらしい農家の人たちがいるこの景色がいとも愛すべき景色なのだとつくづく思えました。

晩年を多摩ですごしたようで玉堂美術館というのがあるそうです。ちょっと暇になったら行ってみようと思いました。
大変多作で奥の深い画家だったのだなとつくづく思います。

展示室の付き当たりにあるのは奥田元宗の「奥入瀬」。
それとその向かいに「玄溟」。
この人は画家にはその人にあった色がある・・とか、そんな言葉を残したみたいですね。
彼にとってはそれが赤だったとか・・・。青の人もいるだろうし、黒の人もいる。
ぜんぜん違う画家ですがある画家(名前忘れた・・)が闇をもっとみたい・・と言ったりしたのを
思いだしました。
僕は画家でもなんでもないけれど、どんな色がこころの真ん中にあるだろう・・・
とか
彼がどういう風に赤を追いかけたのだろう・・・と思いました。
残念ながら彼の赤い作品がこの展覧会では少なくて見えてきませんでしたが・・・

松島に雪が降ったら教えてくれと知人に言って、雪が降ったと聞けば
それを描くために電車で行ったそうです。絵を描くというのは全身でやることなんだと思わされます。
そういう執念があるからこそ描けるんだろうなぁ。もう松島はこういう景色でなくなってしまったし・・・。

次は東山魁夷です。この人になるとついこの間までいらっしゃったし、とても身近に感じますが
1979年ごろに人間の生活を便利にするために山林を切り開き
なにかを失ってるこの国が豊かだと言っていいのだろうか・・・
本当に豊かな国というのは山河があり、自然と共生してて・・というようなことをおっしゃってます。

水俣病などの公害病のような歪みを頭において発言されたのかもしれませんし、
木が生い茂っていたお気に入りの場所が丸裸にされて道路が通ることを直感的に
嘆いたのかは分かりません。
どうか短絡に今問題になってる「原発問題」などとくっつけないでと思うのですが
画家の直感の発言はいろんなものを見つめて熟慮にまさって正鵠を突くものだと思います。

前人未到の土地に行かなくても、それこそただ一枚の葉を見つめるだけで自然というものは見えてくるとか
景色を描くということは人の心を描くことだとか・・・自分に根っこのない人は絶対に言えない言葉だと
思わされます。
画家とは生き様なのですね。昔はこんな画家がたくさんいたんでしょう。

次に横山操さん。確か近代美術館に五重塔が焼け崩れた絵を描いててそれが印象に残ってました。
名前だけ聞いていた(全部そろった話はあまり聞かない)越路十景の全作が一気に見れます。
金をふんだんに使ってるけど黒いイメージで厳しい景色だと思います。
綺麗とかそんなことでなく、ただ厳しくて迫る感じで孤独な印象でした。
五重塔も思ったんですが、どうしてこんな絵を描くんだろう。と思います。
不思議な力強さを感じます。好きになれないけど興味が離れない。

小さな第二展示室は富士山の絵ばかり。
結構な大御所の作品がならんでます。

ショップは速水御舟をグッズにしてるのが多かったです。
(次の展覧会でたくさん展示予定です。有名な絵が多い短命な方だったのでちょっと伝説的です。
 山種美術館の顔になりつづあるんでしょうね^^)
有名な炎舞という絵(仏画の不動明王の背中にあるような炎の周りに蛾が群れてる絵)のグッズオンパレード
で「もっといろいろあるのにもったいない・・・」と思いました。
速水御舟の花鳥画の絵ハガキと川合玉堂の画集を買って(amazonで買えばよかった^^)
帰りました。

ちなみに次は
夏休み企画 日本画どうぶつえん
だそうで、そのタイトルから子供を狙ってるのかもしれませんが
大人の日本画ファンがよだれをだしそうな近代名画がたくさん来ます。

以下は美術館から抜粋です。

出品作品:(予定)

竹内栖鳳《班猫》【重要文化財】(前半展示)
速水御舟《昆虫二題 葉陰魔手・粧蛾舞戯》(前半展示)

西山翠嶂《狗子》
西村五雲《白熊》
川端龍子《華曲》
横山大観《木兎》
山口華楊《木精》
竹内栖鳳《鴨雛》
小茂田青樹《雛》
川端龍子《黒潮》
徳岡神泉《緋鯉》、
山本梅逸《花虫図》
竹内栖鳳《蛙と蜻蛉》

小林古径《猫》(後半展示)
速水御舟《炎舞》【重要文化財】(後半展示)

ほか約60点  
*出品内容には変更が入る場合があります。


たぶん前期も後期も行くと思います。
2008年にも同様ないきものに焦点あてた展覧会あったようですが
(毎年やってるのかも?)
画家としていろいろ知りたいのは川端龍子・竹内栖鳳・速水御舟さんです。
あと、個人的には山口華楊の木精(こだま)がずっと前から見てみたかったです。
すごく楽しみな展覧会です。
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コメント 4

Nick

あなたは、あなたが書いた仕事の中であなたの専門知識を確かに見ることができます。
セクターはあなたのようなより情熱的な作家が、彼らがどう信じるか言及するのを恐れていないことを望んでいます。
いつでもあなたの心を追いかけてください。
by Nick (2018-01-21 10:50) 

Yukiko

良い一日!これはトピックのようなものですが、私は確立されたブログからいくつかのガイダンスが必要です。

あなた自身のブログを設定することは非常に難しいですか?私はあまりtechincalではないが、私は理解することができます
物事はかなり速い。私は自分自身を作成することを考えているが、私はそうではない
どこから始めるのかアイデアや提案はありますか?

ありがとう
by Yukiko (2018-02-28 19:02) 

Pearline

Heya私はここで初めてです。私はこのボードに出くわしました。
それは私を助けてくれました。私は何かを戻し、あなたのような他の人が私を助けてくれるのを助けることを望みます
by Pearline (2018-03-02 02:01) 

Diego

素敵な記事!私たちはこのサイトにリンクしています。
素晴らしい執筆を続けてください。
by Diego (2018-03-02 13:49) 

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