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たぬきの金玉と猫をじゃらす美人にほっこり^^・・・歌川国芳展覧会@[原宿]太田記念美術館 [展覧会]

歌川国芳の展覧会行ってきました。

浮世絵・・あんまり・・・と思ってたんですが
あちこちのブログ見てるととてもよかったとの評判で
へーーと思ってサイト見てみるとぼやぼやして
早く行かないと終わっちゃいますので・・・

僕がこの人の作品で知ってたのは
「見かけはこハゐがとんだいい人だ」

とか
「人をバカにしたひとだ」

kuniyoshi_hitowobakani.jpg

みたいな人が集まって人の顔になる奴とか
あと、宮本武蔵が海で鯨に刀突き刺してる作品でした。

宮本武蔵は好きだったんだけど。。。
人が集まる顔の絵はどんなもんか・・確かに新しい試みなんだろうけど・・・
そんな前印象でした。

展覧会の詳細情報は末尾に載せますが
場所は太田記念美術館という原宿の小さな美術館
うーん。1000円か・・と思うくらいの小ささですが

浮世絵ってそれぞれ作品小さいしありかもしれません。意外とたくさんの作品が見れます。

会期中に前半と後半で作品入れ替えるらしいですが、
僕がみたのは後半。これから行かれる方も後半ですね。

肉筆の掛け軸が畳敷きのスペースにあります。(これに近寄るには下足。)
ふーん。うまいじゃない・・・大黒様とかを墨だけでさらっと描いてます。

肉筆スペースが終わると版画スペースですが
さっそく「見かけはこハゐがとんだいい人だ」とか「人をバカにしたひとだ」
が・・・

あらあら、いきなり出して見せるものなくならない?これが第一印象。

ですがこういう思いつきが次から次に出てくる奇才だったのですね。

ちなみに最近みつかったまぼろしの名品だそうです。
↓かさねのぼうこん
kasanenoboukon.jpg


猫や金魚や蛙やいろんな動物が役者のように見栄を切ってかっこよくなんかを演じていたり
猫を集めて「かつを」の字の形をなしていたり・・・
kuniyoshi_katsuo.jpg

だんだんと彼が描いていたワールドが見えてきました。

家に猫をたくさん飼っていたそうです。すごい動物好きだったとか・・・
猫はふてぶてしいのもいますが楽しそうで可愛いのもいます。

裃(かみしも)つけて福助みたいにお辞儀してる猫の裃には「小判」模様のカスリがあったり・・・
しゃれっけがあります^^
動物は幸せそうで動物のワールドを慈しんでるのがよく伝わってくる。

コミカルで、動物たちがいきいきしてる・・・人も生き生きしてる。
そういう魅力を感じました。

皮肉っぽいジョークの絵としては
影絵のように描いたまっくろの絵で「イセエビ」?と思ったら
釣竿日本もったおじさんの姿がその影絵とまったく同じ輪郭でよこにかいてある。

とか上から見ても下から見ても人の顔・・て奴あるじゃないですか・・
あれをたくさん描いてました。よく思いつくなぁ・・と感心しちゃう。


もう一つ影絵で「金魚の影絵?」・・・と思ったら、うう・・・恥ずかしくて書きづらいけど
たぬきがきん○まで漁師をドツいてる・・・

tanuki.jpg



彼の描くたぬきはまるで狐のようにやせていますが
その「き○たま」は自分の体の他の部分よりよほどデカい・・・
びろびろに広がる・・・

あー、もう○とか書いてても面倒くさいから直に書く^^!!

彼にとってたぬきの金玉というのは相当ツボだったようで20枚くらいあったんじゃないかと・・・
・金玉を海に向かって地引あみのように投げて漁をするたぬきたち
・金玉をふんどしのように自分の腰に巻いて相撲をとるたぬきたち
・お店の屋根から、金玉を下ろしそこにお店の名前を看板のように書いてあるたぬきたち
・さむいので自分の金玉を毛布のようにかぶって寒さをしのぐたぬきたち
・おやぶんたぬきが木の枝に金玉をかけてふんぞり返っていてそれをバチで他の狸が太鼓でたたいてる・・・。
などなどなど・・・

僕は笑いが止まらなくなってしまった・・・。静かにしなきゃいけないのに^^
彼のたぬきはすごいツボでした^^・・・

あと福禄寿(ふくろくじゅ)という頭がびょーんとたてに長い七福神の神様いますよね。
あの人の頭テーマにしたばかばかしい絵がたくさんある。かわいい神様ですね^^

彼はかなり遅れて出てきた浮世絵師らしいです。
天保の改革という政策が施行されたころの人で
やれ
「役者の絵は描いてはいけない」
「女性の絵は描いてはいけない」
と次から次に禁令がでたそうです。

最初は武者絵/役者絵と古典の豪傑(それこそ武蔵とか水滸伝の花和尚さんとか・・・)や有名役者の
絵で人気を博したようですがこのような禁令が出るたびに
さてこの絵はどう取り締まろうか・・みたいな絵を描いたらしい。

曰く
・金魚や亀に顔だけ当時の人気役者顔をいれた絵(気持ち悪いけど^^)
・猫や鳥役者に見立てた絵
・上のたぬきの例のような動物で笑わす絵
・・・・


この人の落款(サイン)は一勇斉 国芳(斉と国は旧字体)
好きなものを思いっきり描くぞ!って気概が伝わってくるような気がした。

役者絵はだめだ・・・といわれて
子供の落書きのようにしょぼい絵に混ぜて
役者の顔だけはしっかりイケメンに描かれてて
悪者(妖怪とか)はほんとに落書き。
落款(サイン)はチョークの落書きのようにずばり「一勇斉 国芳」と書き切ってるのがあって
男だなぁと。

すごい江戸なまりの典型的な江戸っ子だったそうで
高価な顔料かったら一晩で使い切ってしまうようなきっぷのいい人だったようです。

そういえばプルシアンブルー(オランダからそのころ渡来した青の顔料。日本ではべろ藍と言われました。)
をふんだんに使った絵もありました。

親分肌でたくさんの門弟を抱え、絵を教えてたとか。
奉行所が税をとりたてようにも金を弟子を優先にして配ってしまうのでとりたてられない
とか書いてたらしい記録があるとか・・・
火事があれば遠かろうが近かろうがいつでもそこまで行って消しに行くとか・・・

・・・・いい人だったんですね。動物の絵とか子供の絵とかにも人柄が滲むようなところがあります。

あ、美人画もありました(注:春画はない。←結構描いてるらしいけど)。
例の天保の改革で女性を単独で描いてはいけないが、絵の中に地域の名産品を含めればいい
とのことでなぜか蛸の名産地の絵が後ろにかかってますが、
女性が猫をじゃらして微笑んでる美人画でした・・・。

kuniyoshi_bijin_neko.jpg


清ましてぽっぴん吹いてる奴より、ちょっとふりかえってる奴よりよほど生き生きとした女性の姿
をみたような気分で、この光景を切り取る国芳親分のきっぷに感服。

基本ひきめ鉤鼻っぽいのですが、目の二重の表現などはとてもあでやかだと思いました。
これは実物か図録などの高品質なものみないと伝わらないと思います・・・。

好きなものたくさん描いて、禁令をするりと抜けて人に愛された画家だったのだと思う。
すごく好きな画家になりました。いつか猫とじゃれる美人を模写してみたいと思います。


さて、さらに面白い展示がありました。
オランダ渡りの図鑑のようなものを国芳がもっていてそれを粉本(日本画ではお手本をこういいます)に
して彼が絵を描いてたんじゃないか・・・という展示です。

その本の該当する絵と彼の絵を並べて見せて・・・なるほどね・・と。

西洋の写実的な絵が江戸後期の日本画家に与えた影響は大きくて
洋風画と言われる作品群があります。
彼も一部(こっけいな多数の作品がでる前です。天保初期)
透視図法の遠近表現をやったりしてるのがあります。
オランダのそれよりも極端なんじゃないかと思われるような遠近感。
このころに手に入れた西洋の図鑑を粉本にして絵を描いていた。・・・ありえるでしょうね。
というか展示を見てたら間違いないなとおもいました。

1時間半ほどで閉館時間で追い出されました^^
もっと見ていたかったけど・・・画集(図録)買って帰りました。
2400円・・痛いけど、それ以上に国芳親分が好きになりました^^。

これ・・お勧めです。


■■ 没後150年記念 破天荒の浮世絵師 歌川国芳 ■■

http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/H230607kuniyoshi.html

【会期】2011年6月1日(水)~7月28日(木)

前期:<豪傑なる武者と妖怪>2011年6月1日(水)~6月26日(日)
後期:<遊び心と西洋の風>2011年7月1日(金)~7月28日(木)
(前後期で展示替え)

【会場】太田記念美術館
 〒150-0001
 東京都渋谷区神宮前1-10-10 
 TEL: 03-3403-0880  FAX: 03-3470-5994
 問合先: 03-5777-8600 (ハローダイヤル) 

【開館】午前10時30分~午後5時30分(入館は午後5時まで)


【休館】6月6、13、20、27~30日/7月4、11、19、25日

【料金】一般 1000円 ・ 大高生 700円 ・ 中学生以下無料


もっと知りたい歌川国芳―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

この画集がよくでてますね。
この展覧会の図録の方がコストパフォーマンスいいかもしれませんがいけない人はこれ眺めてもらえば・・
(どっちかというと前半展示のイメージですが^^)
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