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琳派私淑 -鈴木其一の掛軸 from ジョープライスコレクション- [琳派]

伊藤若冲の膨大なコレクションで知られるアメリカの
ジョープライスさんの所有するコレクションから
次の私淑(模写・・・というよりいいでしょ)対象を探してました。

いろんな絵を持ってるんですね・・・。
若冲を模写しようかと思ったけど・・ちょっとひるんでしまいました。
(南天雄鶏図などまじめになやんだ・・・かっこいい・・)

其一はこの間朝顔描いたばかりなのに
みてたら描きたくなりました。

「紅葉楓図掛軸」

momiji_2.JPG

原画はもっとくすんだ感じで葉っぱも多いです。


ほとんどオリジナルになってますが・・・(原画に似てない)
なんかパステルっぽい色で日本画タッチの絵を描くと気持ちいいですね。


こんな風に描きました


・色紙にアクリル絵の具のガッシュを使って白を一面塗り
・マスキングテープを使って白を真ん中と横に残しながらパステルイエロー(ガッシュ)を塗る
・リキテックスの透明アクリル絵の具で赤やオレンジや黄色の紅葉を元の絵を見て描く・・
 (正確にかけてないので葉っぱが枚数減ってたり、一枚一枚が大きくなってたりします^^
  もうオリジナルですね。)
・右の楓描く
・枝やつたをかく(茶色ベース)
・掛軸の間などマスキングしながらティッシュで何筋か金色の絵の具を薄く塗りつける(日の光)

本物に必ずしも似てないけど、明るい感じに描いてみてもいいなと思って遊んでみました。
マスキングテープできっちり塗り際が切れてて、二幅の掛け軸が一枚の色紙に収まったのが
いいなぁと思ってます。
絵を描くって楽しいなぁ・・・^^




今日の原画出典であるプライスコレクションについて

今日描いた絵の元は
プライスコレクションという中にあり、もはや日本にはない作品です。

ジョープライスさんは若いときにヨットであちこち冒険してたようですね。
アメリカで伊藤若冲の掛軸(ぶどうの絵)を見て、日本の絵だとかなにもわからないまま購入。
あれこれ集めてるうちにいつの間にか江戸時代の日本の絵ばかり集まってたそうです。

日本に来ては絵を見て名画に臨むと泣くのだそうです。
僕・・なんとなく気持ちわかります。一度お話してみたい。

特に伊藤若冲(下のリンクの本の表紙写真にあるにわとりの絵などが有名)の作品をたくさんもっているんですが
そればかりか呉春だとか、抱一、其一といった画家の絵もたくさんあります。
自宅は日本人以上に日本的でいまカリフォルニアに日本画ばかりを集めた美術館を作るのに協力してます。
死後、所有作品をすべて寄贈する予定だとか・・・

ものすごく丁寧に作品を持つ方で、日本画の研究者が尋ねていくといつでも見せてくれるそうです。
掛軸などの手入れや展示はご自身でなさるとか・・・

この人のような人の手にあってここまで愛されているなら
名画の流出もいいことなのかもしれないなと思いました。

↓下の本の中で見つけました。
プライスさんのコレクションのいいとこどりの紹介だけでなく
若冲の名画の解説や彼の日本画の見方解説など興味深いです。
大きくて迫力あるし、MOOKなので手ごろでおすすめの一冊だと思います。

若冲の衝撃 (和樂ムック)

若冲の衝撃 (和樂ムック)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2010/11/19
  • メディア: 大型本




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琳派私淑 -朝顔図屏風:鈴木其一作 右隻右側部分模写- [琳派]

日本ではなかなか見れない外国に売り払われてしまった名画とおもう作品が
たくさんあります。

今日は・・・というよりここ一週間ほどかなり時間かけて自分のベストつくして
模写したのがこのニューヨークメトロポリタン美術館にある名品
「朝顔図屏風」(右隻のさらに右半分くらいを写しました)
kiitsu02.JPG

↑本物の写真ネットに落ちてなかったので僕の模写しか載せません。
(記事の末尾に原画の収録のある画集を載せます。)


描いたのは鈴木其一(すずききいつ)という画家で酒井抱一の一番弟子です。
かなり初期から頭角を現して、放蕩な師匠である抱一の名で代作をたくさんしてた
という説もあります。


朝顔の花も葉もまるで抽象的な記号のようにパターン化されて幾何学的なリズムのようなものを
感じさせる絵だなと思います。
コンピュータグラフィクスで作ったフラクタルの図形のように小さい葉から大きい葉が
渦を巻くようにくるくると見る者を幻惑してくれます。
あえて言うなら草花の中に小宇宙が存在するかのように上下の感覚をなくすような引き込み方を原作には感じますが模写がどこまで迫れているか^^

・・・僕個人はこの絵が描けて大変満足ですけど、もっと大きいのでもっと端麗に
描いてみたいという欲が沸きます。何度でも描いてみたいし、できれば実物の前で模写してみたい。
とにかく好きな絵ですね。
西洋印象派より後に出てきた抽象画の世界に通じる造形美だけを追求する潔癖さを感じます。
日本にあれば重文指定くらいにはきっとなったでしょう。

対象物をよく見るのは絵の基本だと思いますが、たぶん自然の摂理でこのようなつるの巻き方と
葉っぱのリズムがあるんでしょう。それを其一は見つけた。
他の琳派の日本画家(宗達・抱一など)の花や鳥はとても表情を持っていて息遣いが感じられる
叙情的なものですけど、この其一の図形のような朝顔にむしろ生命や神秘を感じてしまうのです。

新鮮ですばらしい絵だと思いました。そしてどうしてこれが海外に売り飛ばされちゃうんだ・・・と。


最後にこの絵のオリジナルの画像を見た画集のリンクを
貼ります。
興味のある方お求めになってください
(酒井抱一(=其一の師匠)の特集ですが、その弟子たちの絵もあれこれ載ってます。
 僕には其一が一番とんがってる絵を描いてると思えました。)

酒井抱一 (別冊太陽 日本のこころ)


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琳派私淑 -夏秋草図屏風- 模写 [琳派]

皆さん。こんにちは。藤島 修(ふじしま おさむ)と申します。

このブログは日本画好きな素人である僕が趣味で有名な絵を模写してその画像をアップロードしてる
サイトです。

自分で勝手に誰かに感銘受けて真似して勉強することを「私淑(ししゅく)」と言うそうです。
僕は今、あらゆる偉大な画家を私淑して、(模写っていうよりいいですよね。^^)いくつもりです。
そこでこのブログを「私淑画人堂」・・・と名づけました。

僕はこんな風に絵を描くことを楽しんでます。
そしてみなさんも共有してくれたらきっと楽しいだろうと思って
こつこつと絵を描いていこうと思います。

コメントやメッセージなどお気軽にお願いします。



今日のテーマは
江戸琳派:酒井抱一の夏秋草図屏風・・・・。

酒井抱一作『夏秋草図屏風』.jpg

重要文化財です。

【絵の作者と絵について】

酒井抱一(さかいほういつ)
江戸時代の今から250年ほど前の画家です。
徳川家に家康の天下取り以前から使えてた大名酒井家の御曹司でした。
姫路藩の藩主の家柄で、お兄さんが家督を継ぎ、自分は病弱なふりして
出家して画家としての人生を全うしました。

最初は美人画なども描いてましたが
自分自身はあったこともない尾形光琳の絵を見つけて
光琳生誕100年の折に種々の絵を見つけては私淑して
模写し、大いに尾形光琳の名前を高めました。

尾形光琳に連なる画家の派閥は琳派(りんぱ)・・といわれますが
酒井抱一にいたるまでは
俵屋宗達⇒尾形光琳⇒酒井抱一
のそれぞれの人間はあったこともありません。

憧れだけで私淑した人をまとめて「琳派」と呼ぶようです。

ちなみに酒井抱一の後は弟子が後を継いで画風が伝わっていき
これは江戸琳派と別称されます。

酒井抱一は実家からの送金もあったのだと思いますが
高い顔料や金箔・金泥をふんだんに使ったきらびやかな絵を
たくさん残していて、目を奪われます。^^

この「夏秋草図屏風」は
尾形光琳の描いた風神雷神図屏風の裏側に
描かれた絵だそうです。

あちらは金箔の上に描かれていて
こちらは銀箔の上・・・

日本画というより古来中国から
金は昼の太陽の光を象徴し、
銀は夜の月の光を象徴するという考えがあるそうですが
昼の金に対してうらに夜の銀を配したのかと思います。

そして風神の裏には風にたなびくススキと飛ばされる紅葉
雷神の裏には流れる川と雨にぬれるススキや花をおいている。
抱一の光琳への気持ちでかき上げた様子がよく伝わるなぁと感じます。

絵のなかの空間も広くとられていて凛とした雰囲気を感じますし、
風神雷神も二人の神様の間の距離からくる緊張感があるのですが
そこに通じる不思議な印象があるなと思います。

参考に↓これが表(尾形光琳版の風神雷神図屏風)

fujin_raijin_korin.jpg



抱一は宗達や光琳以上に魅力ある画家だと思います。
↓この画集お勧めです。抱一前後の江戸琳派の絵がたくさん十分な大きさで楽しめます。

酒井抱一 (別冊太陽 日本のこころ)





【模写について】

いままではA5サイズの小さな色紙に描いてましたが・・・
今回は寄せ書きサイズというか・・・240mm×270mmのややデカイの2枚組で
描いてみました。

この趣味・・さくっと描くのが楽しくてA5サイズでやってみようと思ってたんですが
(だいたい一晩で描けるし^^・・・)
この絵(夏秋草図屏風)はA5のミニじゃ描けないと直感で思いました。

なんでデカくなきゃいけないか・・・
今まで描いた「雷神(尾形光琳)」「かきつばた(尾形光琳)」「雪松(円山応挙)」
の3枚で一番大変だったのに大してうまく描けてないと反省してるのが「かきつばた」
でした。

葉っぱが密生してる様子を本物は人の背丈ほどの屏風で、模写がA5の色紙というのは無理があります。

大きいサイズでやってみましたが・・・うひゃー、難しかったです。
葉っぱがたくさんある絵は本当に大変。
描いてるとどこやってるのかどんどん勘違いするし、
細い線を描くつもりで筆つけると「ぼたっ」としてしまう。
でも・・素人の遊びですからクオリティは別にとにかく描いては載せてみます。

左側(左隻:させき)
natsuakikusa_left.jpg


右側(右隻:うせき)
natsuakikusa_right.jpg


アトリエ紹介という二つ前の記事で下塗り工程まで紹介してるのですが
僕はアクリル絵の具というのを使ってます。
せっかく描いた絵がいつまでも残ってくれるように
水をはじく絵の具でかつ狭い部屋の中で油のにおいさせないようにと思って。

で本物はだいぶん傷んでるので銀がかすれてるようなので銀色を下塗りしています。
抱一の他の絵をみると完成当時にこのような薄汚れた色の下地を描いたはずがないと
思うので・・・想像で銀をとにかく平らに塗りました。

銀は金のように200年や300年の時を越えられる貴金属でなく、実質卑金属なので
きっと痛んでるのだろう・・と考えての下塗りです。

あとは白や赤(緋色)を後からススキの緑でつぶすつもりで描いておきました。

あと本物に見られるように川に金の線、葉っぱに葉脈が金の線で描かれているのを
真似しました。ただ・・・これは筆でやるのはほとんど神業のテクニックがいるなぁと
実感・・おはずかしながらぼたっと落ちてるところも散見しますね^^

川の流れは絶望的です。^^ 筆ペンやなんかで金の顔料的なインクが濃く置ける画材があれば
上塗りしてやり直したい^^

緑はアクリルの千歳緑という色とそれを等量の白と混ぜた色で葉の裏表を塗り分けました。
これもところどころぼたっと来てます(あはは)。

マスキングテープでカッター入れようかとかいろいろ考えたのですが
とりあえずこの状態であげます。

(正確に葉を1枚1枚書き写すのは無理なので
着想だけ同じくしてそのときの気分で葉を書いて
若干別の絵を描いてみよう・・)


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風神雷神図屏風の模写で気づいた宗達と光琳の違い [琳派]

風神雷神の風神を模写では「俵屋宗達」版と「尾形光琳」版を見て描いていました。

で気づいたこと・・・が今日のブログネタ。

描いていくと横に置いた「宗達」と「光琳」の絵が微妙に違うのがわかります・・・。

ちなみに
fujin_raijin_sotatsu.jpg
↑これが宗達


fujin_raijin_korin.jpg
↑これは光琳

ぱっと見て色のくすみがあるのが宗達かな・・・古くて、しかもお寺で空気に晒されてたからかな・・・
そんな感想持ちました。
でも細かく見ると結構明確に違う点がたくさんあります。
風神雷神の輪郭とかは見事なまでに同じなんだけど・・・
  
  ・腕や足の筋肉を表す線は光琳の方がむきむき(たくさん線がある)

  ・雷の太鼓がついてる輪と肩の周りになびく緑の帯が前後関係違う。
   ↑これは重要だと思います。光琳は後から実物を見ながら描いたので
    なにか重大な意図があったんじゃないかと思うんです。

  ・雷雲が宗達ではこぶりだけど、光琳は大胆に広がってて
   足は雲に隠れてる。
   ↑これも意図的なんでしょう。光琳のは真っ黒くて大きく広がってるんです。

  ・髪が宗達は茶色で塗ってあるところに黒で線。
   光琳は茶色なしで黒の細い線のみ(髪の間に金の地が見えてる)
  ・口の中の色や腰布の中に宗達は茶色で描いてるところを
   光琳はかなり生々しい赤(しゅいろ)。

   ↑光琳は宗達が使った茶を好まなかったようです。茶より赤が目立ちます。
    僕には毒々しくすら思われました・・・。

  ・雷神のまわりにたなびいてる帯の形はまったく同じだけど
   色とねじれ具合(裏か表か)が部分ごとに違う。


  模写はつぶさに見るのでいろんなことが気になりますね。

  琳派の画家で有名どころの人はみんな描いてるこの風神雷神図は
  それぞれの人の作品が前の作品をみて
  何を模写し、何を模写しなかったか・・・をみるとなんだか絵で目指したことが
  考えられるなぁと思い興味深かったです。

  もう宗達にも光琳にも聞くことができないのであくまで僕の想像ですが・・・
  それぞれの画家が目指したことはこんなだったんじゃないかな・・という感想を述べてみます。

  まず宗達の絵・・・
  農業に恵みをもたらしつつも恐るべき破壊を伴う、雷と嵐・・・
  これが主役になったというのは新しいセンスだったんじゃないかと思います。
  もともと扇をおしゃれに装飾して売るようなしゃれ人です。
  彼の風神雷神は仏画の元々持っていた神々しさを茶目っ気たっぷりに
  描いてみたユーモア画であることがその本質だと思います。
  今回模写しなかったのですが風神(右隻の緑の神様)の足の形や表情の可愛らしいことといったらありません。
  二人の神様が追いかけっこして遊んでるのがこの絵の本質だったのだと思います。

  金箔の下地の神々しさで豪華でうやうやしくなってるところが独特の魅力ですが
  宗達がそもそも意図してなかったような茶目っ気ではない神々しさが出てしまったのではないか
  と思います。


  でもって光琳・・・
  帯を雷太鼓の輪の前後に振り分け雲に足をうずめてみたり
  雲がよりダイナミックに前後に広がってるように見えます。
  より立体的に見える・・・
  そして唇や衣の鮮やかな赤が生々しい。
  光琳はこの絵のユーモラスさではなく、リアルな迫力をよしとしたんだと思います。
  あるいは宗達以上に人に迫るような絵を描こうとしたのではないかと思います。


  こんなこと考えてると僕はどう描こう・・・そんなことつらつら考えました。
  僕はへぼいアマチュアの絵の愛好家ですが
  どちらかにだけ酷似してる絵を描いたら、それはなさけない・・・。
  模写が好きなんじゃなくて、絵が好きなので自分はどう描くべきかを考えようと
  思いました。
  
  どの絵を模写するときも細部には自分なりのこだわりで変化を加えようと思います。

  光琳の方が力強く見えた・・これは僕にとっては間違いない感覚。
  でもこの絵は可愛らしさも併せ持つべきだと思う。

  (僕の決めた雷神)
  ・筋肉の線は光琳メインでちょっと気に入らないところを宗達風に
   →迫力あるのはいいこと・・

  ・雲は手前は大きめにして光琳風・・でも後ろのところは遠近感だすのに
   宗達風のままに・・
   あまりどす黒くしたくないけど、広がってるのはいいと思う。
   前の方だけ広げて後ろの雲は少なめに宗達のコピーをしよう・・・

  ・口の赤・・・なまなましくて強いんだけど・・・この色だけは
   僕には宗達がよく見える・・・茶色。腰布も茶色。
   →横に避けた大口が可愛らしく見えるためには赤が強すぎる。そう思いました。 

  ・たなびく帯の片側・・・光琳にならって手前。立体感を感じるから

  ・帯の色・・・自由に緑基調に書く。

  トレースしたからって言ってまったく同じに描かなくてもいい。
  模写に個性があってもいいと思う。練習じゃなくて、素人が自分の満足で写しとる自分の絵なのだから・・
  どうせ技量も及ばないのだから好きなようにやろうと思います。
fujin.jpg




【余談:その他の琳派の描いた風神雷神】

ちなみに風神雷神は江戸琳派の酒井抱一(ほういつ)も鈴木其一(きいつ)も
描いてますが、やはりそれぞれ同じ絵なのですが、細部に個性があります。
抱一の絵は見つかったのでここに載せておきます
fujin_raijin_hoitsu.jpg

鈴木其一のそれはふすまに描かれていて金の下地すらありません。
(書籍で見たのですが・・写真は持ってません。)
其一のは筋肉の表現などがより写実的ですし、金字がないぶん風神が風を送ってるように
流線が斜め上に追い上げるように吹いてます。

日本画の特に詳しい方でなければこの二人は名前知らないかもしれませんね。
琳派といわれる中で尾形光琳を私淑し、その生誕100周年になる時期に光琳の作品を
江戸から日本全国に知らしめる模写をしまくったのが酒井抱一。
その一番弟子が鈴木其一です。
以後は江戸で光琳の画風を独自に受けついで先生と弟子が脈々と絵を描いていたので
これらの人を江戸琳派と言ってます。


酒井抱一 (別冊太陽 日本のこころ)

↑僕はこの本で抱一にほれ込みました。ご興味ある方どうぞ^^
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琳派私淑 -燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ):左隻と右隻継ぎ目部の部分模写- [琳派]

昨日アップした雷神の次は尾形光琳の燕子花図屏風の部分模写です。
燕子花(かきつばた・・と読むそうです。しりませんでした。&漢字変換でないよ^^)

いずれがあやめかかきつばた・・と言われますが本当の花を名前意識してみたことないので
もう本に載ってる絵をそのまま書き写してます。
この屏風も実物いっぺん見ておきたいな・・・・

原画は右側の6枚つづきのところにかきつばたが波打つようにリズムよくかかれ
左側の6まいつづきのところには屏風の半分くらいの高さのトコからボールが落ちるようなカーブにそって
かきつばたが下に連なってます。
画面になんだかリズムがあるように見えるんですが、小さい色紙では全体描くのは困難なので
一部でもリズムを感じる部分と思いこの作品のようなところを選んで模写しました。
いい感じで切り取れたかなと思ってます^^。


kakitsubata.jpg

描き方は昨日の雷神と同じです。
この記事で初訪問してくださった方でどんな風に描いたか気になる方は一日前の記事みてください。

この作品は・・・葉っぱもお花も多いので小さい色紙にすべて正確に書き込むのは雷神以上に難しかった。
はっぱが(筆つきすぎて^^)でかくなっちゃったとこも細くてかけなかったとこもあるし
原画には筆がかすれたトコなど一個もないけど、絵の具つけすぎると太くなっちゃうので一部かすれたとこも
敢えて手を加えず全体的な形が似てるように描きました。・・・ま、雷神もそういうとこありましたけど・・・。

それと絵の具を一本づつ買ってるのでもってる色が少なくて(貧乏ですみません)
お花の青がいまいち・・・黒^^っぽい。



【日本画マメ知識:屏風の様式について】
この作品は屏風を6枚づつ繋げて、左と右に並べてあわせて12枚で作られます。
六曲一双(6枚組みが一対)というスタイルです。

日本画の屏風はあと
二曲一双(二枚組みが一対)というスタイルもポピュラー
(たとえば、昨日アップした雷神の図は「風神雷神図屏風」という二曲一双の屏風画でした。)

これらのスタイルは俵屋宗達がよく採用して定着していったとのこと。
・・・黄金比とかそういう発想はなかったんでしょうね。そこが日本画独特なのかもしれません。

なお、一双の左側を左隻(させき)、右側を右隻(うせき)といいます。
今回かきつばたの図で模写したのはやや右隻よりの接合部です。

一双でなくて片側だけの作品もあります。
それぞれ六曲一隻とか、二曲一隻といいます。

・・・ここで反省点。昨日も今日も長方形の色紙に描いてますが
屏風って
二曲一双の片側がちょうど正方形みたいな縦横比です。
左隻も右隻もそれぞれ正方形の色紙があれば描ける。
・・・普通の真四角の色紙を買えばよかった・・orz

六曲一双なら、三枚づつで左隻と右隻がそれぞれ描ける・・・6枚あれば全部描ける。
もっと大きく堂々とかけたなぁと・・・正方形の普通の色紙でも本物より相当小さいけど
それでも細筆でも結構自由に描けたような・・・

長方形のやつまだたくさんあるので
もうちょっとこのまま描きます。

風神雷神はいつか正方形でも描いてみようと思います。
裏に別の作品も描きます(←日本画好きな人。何描こうとしてるか当ててください。^^
                 風神雷神の裏はアレですよね。)


【次回作品予告】
もう買っちゃった長方形の色紙に下塗りだけ済ませてます。
肌色っぽい白をアクリルの白と猩々緋という赤、生壁色という黄色っぽい色など混ぜて

とある貧農から、取り立てられて宮中の依頼も受けた画家です
今に続く財閥の祖の豪商がパトロンになって盛り立てたので
その財閥の美術館に作品が集中してます。
その人の唯一の国宝作品を描こうと思ってます。

幻想的な雪景色です。僕なんかにはとてもまねできないかもしれないと思わされる作品ですが
挑戦してみたい。出来が悪くても載せますけど^^。

とはいえ暇できないと描けないのでそれまではブログに
雷神の模写のことや、琳派の歴史とか、画材の話を書いていこうと思います。


【道具や画材について】
色紙は105円くらいで正方形よりやや小さめの長方形を使ってます。
あんま考えてなかったけど今思えば正方形のものを普通に買えばよかった。
やはり105円で文具屋さんで売ってました。

道具は貧乏っぽく、百円ショップの筆とか、パレット使ってます。
(絵皿の方がいいかな・・あまり色数入らないし、たぶん百均で醤油小皿を3枚百円とかで買うでしょう^^
 この程度の腕前でいい道具買うのももったいないし、・・・絵の具だけはこだわりたいけど・・・)

最後に色の紹介しておきます。
絵の具のアフィリエートで儲かると思ってませんし、儲けるつもりもないのですが
地方で大きな画材屋さんがないとかの方にお役に立てたり、
僕のブログへの応援で買ってくださったりしてくれる(奇特な)方が
いたらうれしいし。
あ、コメントやプロフィールからのメールなど気軽にお声かけくださいね。
あまり友達いないので小躍りして喜びます。


アクリルガッシュ20ml ジャパネスクカラー青金(あおきん)

青金・・・この色ないとこの作品作りづらかったろうなぁ・・・尾形作品模写するときはこれと決めました^^
(酒井抱一は・・・ちと違うな。もっとお金持ちな金含有量が高い色な気がする。この次の次は抱一と決めてるので
 ちょっと探しておきます^^)



アクリルガッシュ20ml ジャパネスクカラー千歳緑(せんざいみどり)

(光琳作品に多い深い緑の基本にこれを使ってます。でも同じ絵の中でも場所によって緑がちょっとづつ違うので
 他の透明水彩やアクリル絵の具混ぜながら慎重に色を作ってます。)



アクリルガッシュ20ml ジャパネスク 12色セット

(基本セットにこんなのどうでしょう。混ぜられるのでよほど特徴的な色でなければ結構足ります。高いしね^^。)
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琳派私淑 -風神雷神図屏風:雷神部分模写- [琳派]

こんにちははじめてブログなるものを書いてます。

美大生でも出身者でもないのに絵が好きです。最近は日本画にはまってます。

浮世絵・・・みたいなあちこち出回った奴でなく
由緒ある名刹のふすまや屏風に金箔丁寧に張ってから
鮮やかな色で塗り倒す奴が好き・・・

例えば俗にいう琳派(りんぱ)ですね・・・。
俵屋宗達・尾形光琳・酒井抱一・・・・あたり。

さて琳派は尾形光琳の作風に代表される金の地に濃い緑とかであざやかに
かく感じの人たちです。
普通なんとか「派」っていうと師匠がいて、弟子が名前もらってえらくなって・・とつづくんですが
俵屋宗達と尾形光琳も生年が重ならないし、尾形光琳と酒井抱一も重ならない。

光琳は宗達にあこがれてあの有名な風神雷神の絵のそばに寝泊りして
ほぼ同じ大きさでそれを模写しました。

酒井抱一はその光琳が描いた風神雷神の絵の屏風の裏側に
風景をかきました。雷神の裏には雨景色。風神の裏には風に揺れる景色。

あこがれでつながってる人たちをまとめて「派」って呼ぶところが
なんかいいなと思うんですよね。
(注:江戸琳派っていう酒井抱一以後の師弟関係は別とします。)

勝手にあこがれてこっそり追いつくように自分で勉強する。(=私淑)

尾形光琳の琳の字で琳派っていいますが俵屋宗達なんてそれより前に死んでるのに光琳があこがれてたから、琳派の始祖ってことになってます。

酒井抱一なんかは姫路藩の藩主の家柄なのに病弱を装って出家、
頭つるつるにして坊さんになって絵を描きました。
ハンサムで学があったようでおまけに大名家のどら息子だから金もある。
吉原で遊びまくってたらしい。
・・・・なんて奴だと思うけど、光琳の絵を手に入れてその裏に絵を描いて
大切にしてるとこはなんか愛すべきとこかなと思ったりする。
ちなみに抱一の絵はすごいとおもいます。
日本画に興味ない人はあんま名前知らないと思うけど
殿様芸
のレベルではない。

僕もこっそり描いてみました・・・これで僕も「琳派」^^?


fujin.jpg

雷神のとこだけ^^ 疲れた・・・

大きさはA5くらいの色紙で本物には内容はおろかサイズもまったく及ばないです。
しかも勝手に雅号つけてます。
(「琳修」左下隅に墨でサイン(=落款(らっかん)といいます。
  あ、修は自分の本当の名前から一部。琳は当然の一字・・
  まじめに美大とかでてる人がみたら怒るかも知れんが
  僕もまじめに描いてる^^いいだろ・・)

こんなことして描いてます。

1.色探しと下塗り。
  アクリル絵の具(水性で水で溶いて使えるけど、乾くと水に溶けない)
  の青金という金箔に近い色を探してきて丁寧に色紙に平坦に塗る。
  乾くの早いので水差しで溶かしながら・・


2.下絵。
  最初はチャコペン(絵の道具でも売ってます。)って描くと
  しばらく経つと消えるペンで色紙じゃないとこに何回か線を
  写して書いてました。
  さて青金のとこにチャコペンで描こう・・と思うとどの下絵も
  あれあれなんかうまく行かない。せっかく綺麗に塗った下地を
  お釈迦にしたくなくて・・・
  作戦変更^^
  コピー機で原本をサイズ合わせて縮小し、自分の色紙にあわせ
  ペーパーナイフで輪郭をなぞって線をつけました。
  軽くスクラッチされてますが、がっちり乾いてるアクリル絵の具は
  まったく痛まないのでOK。
  

3.色付け
  白、茶、黒、もう一回茶(ちょっと赤め)、緑の順に
  面相筆(人形絵師が顔書くときに使う細筆)で塗りこむ。
  小さいのでマジ疲れる。どうしても一部にじむ・・・(テクの問題)
  アクリル絵の具メイン。でも黒は墨汁も使った。
  (墨って日本画らしいのとアクリルで伸ばすときに
   わざとにじませたかった(雲のとこ))
  墨汁は下の金が透けるのでそれらしく質感でていいなと。
  水でやられちゃうのが気になるのだけど・・・
  保護スプレーかけるか悩み中(他の色がくすまないか・・)
  緑は意外と苦戦。鮮やか過ぎて目に刺さる。
  黒(これは絵の具)とか茶色っぽいのを混ぜて色をちょっとづつ殺して
  帯の返りに応じて塗りわけ・・・

4.最後の落款(サイン)
  筆ペン(こればかりはホントの書道筆では書けん^^小さすぎ)
  「琳修」と左下の光琳の落款と大体位置合わせて入れる^^。
  ちょー自己満足。
   

以上で作り方終わり^^



次は光琳のかきつばたの絵を描こうかなと思ってます。

アクリル絵の具のリンクをここに載せておきます。


アクリルガッシュ20ml ジャパネスクカラー青金(あおきん)


↑これが下地に塗った絵の具です。
水を多めにしてさっと塗ってしまうようにして、失敗見込んで二つの色紙を一気にやりましたが
むらなく塗りやすかったです。

以下に他につかった色を載せます。こちらはあまりこだわらないでも混ぜながら調整できるので
下に示すようなセット絵の具でもいいかもしれません。
(日本画はそんなに色数が多くないものが多くやりたい作品を頭にいれて単色で求めて行ってもいい感じに
 近づけられると思います。)


アクリルガッシュ20ml ジャパネスクカラー猩々緋(しょうじょうひ)

アクリルガッシュ20ml ジャパネスクカラー猩々緋(しょうじょうひ)

  • 出版社/メーカー: ターナー色彩
  • メディア: おもちゃ&ホビー




アクリルガッシュ20ml ジャパネスクカラー千歳緑(せんざいみどり)

アクリルガッシュ20ml ジャパネスクカラー千歳緑(せんざいみどり)

  • 出版社/メーカー: ターナー色彩
  • メディア: おもちゃ&ホビー




アクリルガッシュ20ml ジャパネスクカラー焦茶(こげちゃ)

アクリルガッシュ20ml ジャパネスクカラー焦茶(こげちゃ)

  • 出版社/メーカー: ターナー色彩
  • メディア: おもちゃ&ホビー




ターナー アクリルガッシュ ジャパネスクカラーシリーズ 20ml 白(シロ) 3本組

ターナー アクリルガッシュ ジャパネスクカラーシリーズ 20ml 白(シロ) 3本組

  • 出版社/メーカー: ターナー
  • メディア: おもちゃ&ホビー


↑白は多めに持ってた方がいいかもしれません。
ジャパネスクのブランドにこだわる必要もないかな・・・


アクリルガッシュ20ml ジャパネスク 12色セット

アクリルガッシュ20ml ジャパネスク 12色セット

  • 出版社/メーカー: ターナー色彩
  • メディア: おもちゃ&ホビー


↑]※内容色 白 黄蘗色(きはだいろ) 猩々緋(しょうじょうひ) 臙脂色 紅梅色 真朱 香色 浅緑 苔色 淡水色(うすみずいろ) 濃縹(こきはなだ) 鉄紺

アクリルは普通の水彩より高いのでとりあえず12色くらいと上に紹介したような青金のような特別な色を
1-2本買うのがいいと思います。
普通の水彩絵の具を混ぜても色の調整ができますし、乾いたら消えないという性質も同じですので
お安く楽しんでいただければ^^



アクリルガッシュ20ml ジャパネスク 24色セット

アクリルガッシュ20ml ジャパネスク 24色セット

  • 出版社/メーカー: ターナー色彩
  • メディア: おもちゃ&ホビー


↑本格派に・・・^^

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